Diabetes Leading-edge Conference
8月5日と6日の2日間、国立京都国際会館で開催されたThe 16th Diabetes Leading-edge Conferenceに参加させて頂きました。本会では国内外の最先端の研究が発表され、特別講演ではドイツから来日されたMatthias Tschöp先生のお話を聞くことができました。
Tschöp先生からは、世界中で増加する肥満や糖尿病の問題を解決するために抗肥満/糖尿病薬の研究を続け、最新の薬剤であるGIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬(triagonist)であるretatrutideの開発に至る経緯を熱くお話し頂き、会場もその臨床成績に驚きと興奮に包まれました。
Triple–Hormone-Receptor Agonist Retatrutide for Obesity — A Phase 2 Trial | NEJM
特に、血糖を上げるホルモンであるグルカゴンを抗肥満/糖尿病薬として利用するという逆転の発想や、複数のホルモン受容体を同時に刺激する単一化合物を合成するという手法の導入は本当に斬新で、開発初期には多くの批判があったという苦労のお話も伺うことができました。
GLP-1受容体作動薬に続いて、わが国でも本年4月からGIP/GLP-1受容体作動薬(co-agonist)であるtirzepatideが発売されました。血糖降下と共に体重減少効果も持つこれらの薬剤は、膵β細胞への負荷を減らし糖尿病の病態を改善することが期待できます。この分野の目覚ましい進歩から目が離せません。
今回このような貴重な機会を作って頂きました本会世話人の国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 院長 門脇孝先生ならびに公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 理事長 稲垣暢也先生に厚く御礼申し上げます。また本会を主催頂いた住友ファーマ株式会社に感謝申し上げます。