メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームという言葉は「メタボ健診(特定健診)」によってすっかり定着しましたが、メタボ健診の目的は、メタボリックシンドロームを早期に発見・治療して将来の糖尿病や心血管疾患の発症を予防することです。
メタボリックシンドロームとは、かつては「インスリン抵抗性症候群」「内臓脂肪症候群」「マルチプルリスクファクター症候群(危険因子重複症候群)」あるいは「死の四重奏」などと呼ばれた病態で、内臓脂肪の蓄積を基盤として、「高血糖」「血圧高値」「中性脂肪増加」「HDL(善玉)コレステロール低下」など複数の代謝異常が同時に起こっている状態です。
個々の代謝異常は軽度でも、複数の危険因子が重複することで動脈硬化が進みやすくなり、将来の糖尿病や心血管疾患の発症リスクが高くなってしまうことが分かっています。メタボリックシンドロームという概念が生まれる以前は、「血糖値が少し高いが糖尿病ではない」「血圧も少し高いが薬を使うほどではない」というように個々の異常が軽度であるために、積極的な治療が行われず、そのために心筋梗塞や脳梗塞を起こしてしまうということもありました。したがって、メタボリックシンドロームあるいはその予備群と言われた方は、代謝異常の改善が必要です。
メタボリックシンドロームの診断基準
現在、メタボリックシンドロームの診断基準は以下のようになっています。内臓脂肪の蓄積を反映する腹囲の基準を満たし、その上で、血圧、血糖、血清脂質の2つ以上の項目を満たした場合、メタボリックシンドロームと診断されます。ただし腹囲の基準は日本人での基準であり、海外での基準とは異なります。
<メタボリックシンドロームの診断基準>
必須項目:内臓脂肪型肥満
- 腹囲(ウェストサイズ)が男性85cm以上、女性90cm以上
加えて以下の3項目のうち2項目以上の異常
1)血圧
- 収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上
2)血糖
- 空腹時血糖値110mg/dl以上
3)血清脂質
- 中性脂肪(トリグリセライド)150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満
メタボリックシンドロームの治療
治療の基本はやはり食生活や運動を中心とした生活習慣の調整になります。特に内臓脂肪(ウェスト周囲径)を減らすことが重要です。少しずつ、無理のない範囲で生活を調整していくことが、長く続けていく上では重要です。