いつか来る「大災害」に向けて(2)
前回に引き続き、今回は実際に災害に見舞われたときに、糖尿病患者さんが注意する点についてお伝えしたいと思います。
- 低血糖対策
災害直後は、決まった時間に食事が摂れないことが多々あるため血糖コントロールが難しくなります。低血糖症状(生あくび、手の震え、冷や汗、動悸など)があるときには、我慢しないですぐに10~20gのブドウ糖やジュースなどの糖分を摂って対応しましょう。
- インスリンを自己判断でやめない
食べる量が少ない場合も、1型糖尿病の方はもちろん、2型糖尿病の方も持効型のインスリン(基礎インスリン)は中断せずに継続する必要があります。
もし手持ちのインスリンがない場合には、周囲の医療スタッフを探してすぐに相談して下さい。
インスリンを打つための針やアルコール綿が手に入らない状況では、アルコール消毒なしで何度か同じ針を使ってでもインスリン注射を継続します。
注射の前には必ず空打ちをして、インスリンが針先から出ていることを確認しましょう。
- 水分はしっかりと
トイレが不便なため水分補給を制限しがちですが、脱水による高血糖や血栓を予防するためにもこまめに水分を摂りましょう。ただし糖分を含むジュースやスポーツドリンクの摂取は逆に血糖値を上げてしまうため注意して下さい。
- 血糖測定は頻回に
避難所で配給される食事は炭水化物が多くなる傾向があります(おにぎり、パンなど)。頻回な血糖測定でご自分の血糖の状態を確認しておきましょう。
- 感染症やケガに注意
避難途中のケガに気づかずに入浴も出来ないまま数日が経過した結果、傷口からの感染を起こしてしまうことがあります。特に神経障害がある方では足の傷に気付きにくいことがありますので、ご自身の足の状態をこまめに観察しましょう。
以上のような注意点以外にも、災害時の不安やストレスは、それだけで血糖値を不安定にします。困ったことは一人で抱え込まず周りの人に相談しましょう。また、普段からかかりつけ医と災害時の対応について話し合っておくことも大切ですね。
看護師 道京